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2014.02.16

世界一早い(笑)慶大法の解答速報

慶大法受験の皆さん、お疲れさまでした。論述力試験の問題を入手したので、現段階で可能な範囲でコメントします。まず、設問は以下のとおりでした。

【設問】
 
次の文章は、「規範理論における主題としての「家族」と題する論文の中で、フェミニズムにおけるケアと正義の二元論についての記述の抜粋である。
 
この文章を読み、「ケアの倫理」と「正義の倫理」に関する筆者の分析を踏まえて、あなたの考えを論じなさい。

詳細は公式の速報に譲りますが、「ケアの倫理」が家族・親密圏に女性を閉じ込めてきたこと。彼女たちの社会・公共圏への進出を阻害してきたのは「正義の倫理」に反すること。というフェミニズムの二元論(課題認識)をおさえなければなりません。
筆者の分析は両者を対立させるだけではなく、「統合」を展望しています。それを理解し、論述で踏み込んでいけるか否かが良い解答か否かの別れ目です。統合とは最下部の冬期講習・解答例の後半にあるケアの社会化(家族ケアの機能不全を社会が支援していくようなあり方)で、女性や当事者だけでなくみんなが「ケアの倫理」をもち、実践することが「正義の倫理」にもなる・・・という方向で書ければ高い評価になるでしょう。

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これを読んでびっくり!家族というテーマと「ケア」というキーワードが、冬期講習実戦テスト・第2回(第4日)と重なっていたからです。さすがに課題文までは的中しませんでしたが、何が出題されるかわからない論述力試験で、ここまで肉薄すれば十分でしょう。その「的中」の設問とは以下のとおりです。

【設問】
 
筆者が「家族は安全な場所であるとは言い難い」(傍線部)と考える理由を「ケア」という言葉を用いて簡潔に説明しなさい。その上で、これからの家族のあり方について、あなたの考えるところを自由に述べなさい。

以下に、そのときの解答例を掲載します。ここではケアの難点として「暴力」をあげましたが、慶大法の出題はケアを担う人の社会進出を妨げる「不正義」をあげています。この点で的中とは言えませんが、家族によるケアという機能が限界にあるという課題認識は同じです。解説授業でも話した〈家族的ケア→社会的ケア〉という社会の流れをつかんでいれば、なんとか理解し、論述することはできたかも…

【解答例】←今日の出題の解答例じゃあないよ
 
ケアとは養育・介護・気遣いであり、人が生きていく上で必要な、具体的な他者との全面的なつながりや信頼感が存在する場としての親密圏がもつ機能である。この親密圏としての家族の暴力や虐待にはケアが関連している。ケアという行為はケアをする/されるという関係性であるが故に,その関係性は非対称にならざるをえない。この非対称性に,他者との緊張や葛藤や依存というような,暴力へと転化する可能性を持つ要因が内包されている。筆者はこのような「ケアの両義性」に着目して、「家族は安全な場所であるとは言い難い」と述べている。
 
児童虐待、ドメスティック・バイオレンス、高齢者虐待など、近年になって問題が顕在化していた家族の暴力や虐待の問題を、筆者は以上のように分析する。しかし、「日本の家族における問題を見つめ直す」とするだけで、少なくとも課題文の中には課題の解決についての言及がない。そこで、「ケアの両義性」に起因する家族の暴力や虐待の現状を踏まえつつ、これからの家族のあり方についての私自身の考えを以下に述べる。
 
家族のケア機能は暴力への転化を内包するが、その危うさを抑制・解消してきた家族は多い。それにもかかわらず家族の暴力や虐待が起こるのは、ケアの存在それ自体ではなく、その機能不全が改善されていないからだ。現在の家族形態は大きく変化し、母子・父子世帯、高齢者だけの世帯、高齢者だけの世帯、独居などが増えている。家族の構成員が少ないのが、これらの家族形態の特徴である。こうした中で、十分な養育・介護・気遣いは相当に困難なはずだ。暴力や虐待は当の家族だけの問題ではなく、彼ら・彼女らに対する関心、想像力、気遣いを失った社会の問題でもある。
 
これからの家族のあり方とは、家族ケアの機能不全を社会が支援していくようなあり方である。生きていく上での課題の解決を、家族だけが背負い込むのではない。周囲の支えにも助けられつつ、ともに解決に向けて歩んでいく姿こそ、理想とすべき家族のあり方だ。子どもの養育をケアする保育園・幼稚園や学校、高齢者の介護を支援する諸々の介護サービスなど、家族を支援する社会的機能はすでにある。ただし、これらの既存サービスが、家族の暴力や虐待を克服するために、十分な役割・責任を果たしていないのが課題だ。その重要性を再確認し、支援機能の拡充を進めていかなければならない。

 

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