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2010.02.21

今年の慶大文・経済の論文

今日は横浜校で駿台の早慶大(文系)入試対策フェアがありました。論文入試対策入門として、先週行われた慶大の文・法・経済の論文試験について趣旨や内容を簡単に解説しました。新高3・2生が対象なので、できるかぎりわかりやすく話をしたつもりですが、わかってくれたかな?

慶大法については、このブログで日本一早い速報を流しました。しかし、NPO方面で急で大きな仕事(内閣府・地域社会雇用創造事業)の企画書を書くことになり、他学部についてはやむなくスルーしてしまいました。本当にごめんなさい!もう駿台の解答速報に出ているので、詳しくはそれを参照してください。ここでは、今日のフェアでの話を含めて、文と経済について簡単なコメントだけしておきます。

○文学部の論文
 文学部らしい出題という傾向は維持されました。今年の設問は、以下のとおりです。

設問Ⅰ 水村氏の発言中の「普遍語」「国語」「現地語」とは、それぞれどういうものか、違いがわかるように220字以上280字以内でまとめよ。

設問Ⅱ 水村氏の現状認識を踏まえた上で、「英語を日本語の公用語とする」という意見について、自分の意見を340字以上440字以内で述べよ。

 水村氏というの課題文(インタビュー記事)に登場する作家で、『日本語が亡びるとき』の著者です。日常生活で使われる「現地語」が、英語などの「普遍語」の翻訳を通じて磨きをかけられて「国語」になる・・・という三者の関連を理解・説明することが設問Ⅰの「正解」です。日本語だけでなく国語が亡ぶことに対する危機感が水村氏の問題意識であり、その是非を考えることが設問Ⅱの解答の起点になります。 

○経済学部の論文
 今年の設問は、以下のとおりです。Aで論理性を、Bで独自性を評価する出題でした。つまり、Aが「並」(平均点)の答案か否かを、Bが「並」を超える答案か否かをはかるもので、採点しやすさを意識した感じがします。

A.課題文の空欄は、その前後をつなぐいくつかの文を伏せたものである。その文章では、政府の指令統制による方法と市場による方法とが対照され、後者のほうがうまく機能する理由が述べられている。空欄の前後を読んで、空欄にどのような議論が入るのが適切かを考え、400字以内で記述しなさい。その際、汚染削減コストに関する官僚と企業の間での情報の差、および汚染削減コストの正確な情報を伝える企業側の動機付けに着目しなさい。

B.課題文は、酸性雨の事例に即して、市場を用いて環境問題を解決する方法を示したものである。市場を用いる方法は、他の環境問題にも適用できるだろう。しかし、環境問題の中には、市場による方法では原理的に解決が難しいものも存在すると思われる。そのような環境問題の例を一つ挙げ、なぜ市場による方法では解決が難しいのか、200字以内で説明しなさい。

 Aは課題文の空欄補充で、設問が解答の論理構成を指示している点に注目しましょう。第一に二つの方法(政府の指令統制による方法と市場による方法)を対照すること、第二に対照する際の視点として二つの切り口(官僚と企業の情報の差と企業側の動機付け)を入れることが求められています。以下のようなマトリックスを描き、これに基づき説明することが設問が求める論理構成です。4つのBOXで400字ということは、1つにポイントについて100字程度の記述が適切です。

 文章の流れは①→②→③→④と①→③→②→④が考えられます。

 

情報の差

動機付け

指令統制

   ①    ②

市場

   ③    ④


 
Bは市場の原理を明らかにして、それを理由として市場による環境問題の解決が困難であること(市場の限界や失敗)を説明するものです。慶大経済は2006年以降、与えられた情報を「疑う」というリテラシーの有無をはかる出題を続けてきました。今年はBがリテラシー問題です。市場原理といっても難しく考えず、売買や価格といった基本要素をあげ、排出権取引とは違って売買が成り立たたない例や価格の設定ができない例を考え、簡潔に説明することが求められています。

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