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2009.12.26

<医>ミッドレベル・プロバイダー

 YHさんのリクエストに答えて、ミッドレベル・プロバーダーについてコメントします。
 これは朝日新聞が12月16・17日と連載し、18日に関連記事を掲載したもので、16日の記事には以下のような語句解説が載っています。ちなみに、NPはナースプラクティショナー、PAはフィジカルプラクティショナーの略です。

ミッドレベル・プロバイダー
 
手術のときの開閉腹や助手、病気の治療、薬の処方、麻酔など、日本では医師法で医師しかできない仕事の一部が認められている医療職の総称。NPやPA、看護麻酔師などが該当する。日本では正式名称はまだないが、「非医師診療師」などとも言われる。修士課程で2~3年学んだ後、国家試験に合格後に州に免許を申請する。NPは1~3年ごと、PAは6年ごとに更新が必要。看護麻酔師は100年以上の歴史を持つ。NPとPAはともに1960年代後半から養成が始まった。

 この記事がリードで「医師を増やすほかに医師不足の解決法はないのか」と問いかけていますが、ミッドレベル・プロバイダーによる医師偏在の改善にYHさんも期待しています。医療現場における役割分担は必要不可欠であり、より高度な診断・治療や研究、教育等を医師が担い、軽易な医療をミッドレベル・プロバイダーが担うことは問題解決方法の一つといえるかもしれませんね。18日の記事にあるように、厚生労働省のチーム医療の推進に関する検討会でも議論が行われているようです(検討会の議事録、資料等はこちらから)。
 コメント欄にボクが書いたように、あらゆることが複雑化した現代社会では、中間的な機能が重要になります。取り上げるべき問題を整理して、人、資金、物、情報等の資源の差配をするのが「中間」の役割です。医療において中間的機能を果たすのがミッドレベル・プロバイダーで、NPやPAの導入にボクも期待をしています。
コメントでmidwife(助産士)に言及したのも同じ趣旨です。通常分娩は助産士が行い、リスクが高い場合は産科医に委ねるという役割分担は以前から行われ(我が子も助産院で生まれましたが、万が一の場合の高度医療機関との連携が用意されていました)、産科医不足が深刻化する中で、その意義が見直されつつあります。
 ただし、ミッドレベル・プロバイダー導入には課題が多いと思われます。まずは開業医の反発が予想されます。ドラマや映画のシーンによくあるような、地域の医師が近所の患者さんの血圧をはかりつつ簡単な問診・世間話をする・・・ことを
ミッドレベル・プロバイダーが担うようになれば、開業医の仕事は減るかもしれません。また、それは、より困難な仕事ばかりを医師が担うことになることも意味します。「雑務」からの解放を喜び専門性を発揮する医師がいる一方で、負担感を募らせる医師もいるかもしれません。ミッドレベル・プロバイダーという新規参入者を、既存の市場で働く人たちがどう受け止めるかがポイントです。
 他にもいくつかの問題点が考えられますが、長くなってしまったので、この先は皆さん自身が考えてみてくださいね。たとえば、医療サービスを受ける側の課題もありますが、それは何でしょうか?
 
なお、米国ではNAが14万人、PAが8万人いるそうです。数字だけをみると医師不足は解消しそうですが、医師偏在は解消しないかもしれません。ミッドレベル・プロバイダーについても働く場所を自由に選べるならば、医師と同じように都市に集中するかもしれないからです。医療過疎地域で働く人をどのように確保していくのか?この難問をそのままにして、ミッドレベル・プロバイダーに過度な期待をすべきではないかも・・・とボクは考えます。

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