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2009.12.21

<社>社会的排除と社会的包摂

 今日で冬期講習が終わります。限られた時間の中で、どれだけのことを正確に伝えられたかわからないので、特に重要なテーマについてブログで補足します。
 「社会的包摂は、社会的排除という問題解決へのアプローチを指す」と指摘する『社会的包摂手法による地域の再生』(財団法人「神戸都市問題研究所」)は、英国のAlan Kayの言葉を引用して、以下のように社会的排除について説明しています。

 「端的に言えば、失業、低スキル、低所得、劣悪な住宅環境、犯罪率の高い環境、健康状態の悪化、家族の崩壊といった連鎖性の諸問題を個人や地域が複数抱えた場合に起こりがちである」。したがって、社会的排除は複数の相互関係にある要素により起こり得るのだが、それらは以下のように整理できる。
●経済的要素:
 たとえばスキルの欠如により主流の雇用のチャンスがない。給与条件が良くない職で低所得、そのため経済的に上昇することが不可能で、貧困の下降サイクルに捕われ、労働市場で差別を受け、社会的排除が益々深まる。
●社会的要素:
 犯罪率の高い環境で生活するためコミュニティの一体感に欠け、結果的には隣人に不信感を持ち、家族崩壊により周囲の目が届かない10 代の子供たちがストリートをうろつき、地域住民が出会い交流できるようなサービスとチャンスが欠如し、健康悪化により人々が引きこもりがちで、それゆえ疎外が深まり、特定のグループに対する偏見がさらに彼らの社会的排除を生む。
●地理的/構造的:
 辺鄙な場所にあるため主なサービスが受けらず、地方の人口減少により人口密度が低下し、サービスのレベルが維持できなくなり、そういった地域は衰退するのでさらに住民が疎外され、「沈下した」住宅群には悪い風評が立ち、就職が難しくなり、「より良い」地域への流出が始まる。

 これを読めば、日本社会でも社会的排除が深刻化していることは明らかです。これを解決するため社会的包摂として何に取り組むべきか?そんな難問を考えさせるのは、受験生には難しすぎるでしょう。しかし、「誰もが自分のことしか考えてこなかった」という「わたし自身」や「われわれ」の問題に気づくことはできると思います。受験のときは自分のことで「いっぱい、いっぱい」かもしれませんが、大学や社会に進んだときに社会的排除という難問にどう向き合っていくのか、将来の宿題としてとらえてください。
 なお、『社会的排除-参加の欠如・不確かな帰属』(岩田正美・有斐閣)に関する書評についてもリンクをはっておきます。短い文章なので読み、何が問題になっているのかくらいは理解しておきましょう。

 明日からボクは「社会復帰」して、やり残したNPOの仕事を一つずつ片づけなければなりません。ブログも忘れずに更新していく予定です。受験生の皆さんも、健康に気をつけてがんばってください!

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