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2008.02.04

論点のしぼり込み

 先週で直前講習を終えたのですが、これまで小論文の対策をしていなかった人の答案を読む機会が多くありました。ある程度は想定どおりだったのですが、「緊急手術」が必要な人も少なくなかったので、入試本番に向けて特に留意すべき点を一つだけあげておきます。
 もっとも目立ったのが「論点過多」ともいえる答案です。たとえば、課題文の論評をするときや自己の主張を説明するときに、それぞれの根拠を数多く列挙するものです。「ヘタな鉄砲も数打ちゃ当たる」というわけではないと思いますが、とにかく知っていることや考えたことを脈絡なくあれこれあげるのです。それを一つの文章に盛り込もうとするため、文章が長く・わかりづらくなる「副作用」もみられます。
 そんな人に、2006年の慶大経済の設問を紹介しましょう。
 課題文は遺伝子診断の利点を三つ挙げていて、それに対して反論するのが設問の主旨です。その中で「三つの事例の中から一つを選び、課題文の主張にたいして説得的な反論を加えなさい。」との表現があります。ここでは「一つに選び」と「説得的な」がリンクしている点に着目してください。反論の字数は実質的には300字程度です。その短いスペースに、三つの利点それぞれに対応した反論をすると、各100字しかありません。一方、設問に沿って「一つ」にしぼり込めば、300字使えるため内容、理由などの説明を掘り下げ、説得的な反論に仕上げることができるのです。
 大学側が設問の中でこうした注文をつけたのは、それまでの入試でも論点過多で説明が浅い答案が多かったからだと思われます。知識の量が問われる他教科では、知っていることを数多くあげると高得点になったかもしれません。しかし、小論文では読み手に対する説得力の有無が評価を左右します。いろろなことをあげた答案を読むと、「よく知っているなあ」と思うと同時に、それぞれをどこまで理解し、考えているのか不審に思うことも少なくありません。
 自分がよく理解し、よく考えていることを相手に伝えるには、それなりのスペースが必要となります。そのスペースが限られている場合は、論点をしぼり込むしかないのです。それは優先順位の低い論点を捨て、もっとも重要度の高い論点を選ぶことであり、「与えられた情報を疑う力」とともにリテラシーの基本の一つともいえます。
 対策が遅れた人だけでなく、ブランクがあってポイントを忘れてしまった人も、授業でボクが言ったことを思い出してくださいね。

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