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2008.01.27

初心者へのアドバイス

 直前講習の時期は、これまで小論文の対策をしてこなかった「初心者」に出会います。「初心者」といってもいろいろで、けっこう良い答案を書く人も少なくありません。なので、「初心者」だからと言ってあせらず、限られた時間の中でできることから始めるようにしましょう。
 もっとも大切なことは自分の受ける大学・学部の出題傾向をおさえることです。「初心者」の中には論文のマニュアルやネタを求めて、それらで何とか対応しようと考える人がいます。しかし、出題は大学や学部によって異なるので、一般的な対策を講じてもあまり意味がありません。
 たとえば、あるマニュアルは課題文の要約を求めますが、設問がそれを求めていないときは要約は不要です。設問の求めに応じるのが解答の基本です。また、ネタ(具体例)についても、むやみに使えばよいというものではありません。具体例は主張を説明する手段の一つで、それを使って何を説明するのか趣旨・意図が大切です。
 blogのアクセス解析をすると、検索ワードでもっとも多いのが「小論文 書き出し」という組み合わせです。受験生だけではないのかもしれませんが、一般的に書き出しに悩む人が多いようです。だから、「要約からはじめよ」などという相手(設問)を無視したマニュアルが横行してしまうのでしょう。
 悩みはよくわかりますが、絶対的な解答方法や書き出しなんて「ないっ」と覚悟を決めてください。それよりも、設問に応じて何を答えるべきかを考える柔軟さと解答方法の多様性を身につけましょう。入試までわずかですが、まだ時間はたっぷりあります。まずは過去問をながめて、相手が何を求めているかを確認してみてください。

2008.01.14

「論」の氾濫

 先日、会議で同席した研究者が言っていたのが、現代社会における「論」の氾濫です。事実に基づき、筋道を立てて、自分の意見を述べるのが本来の論です。ところが、その基礎となる事実抜きに、感じたことを脈絡なく連ねるカギカッコつきの「論」が、世の中にはあふれています。これでは、小論文の答案でも失格です。
 ボクが専門としてきた情報公開制度は、論の基礎となる事実に関する行政情報を入手する道具の一つです。この制度を活用して事実を明らかにし、官官接待、塩漬け用地(土地開発公社の長期未利用地)をはじめとする論を興しててきました。そうした経験からも、「論」の氾濫という彼の問題提起に共感しました。
 そんなおり、昨日の朝日新聞の「耕論」というコーナーに、違う角度から「論」を論じる対談「今、論じるとは」が掲載されていました。音楽評論家の渋谷陽一さんと作家の高橋源一郎の対談ですが、その中で「リアル」というキーワードが取り上げられています。わざわざ取り寄せて読まなくても構いませんが、手近なところにあったら読んでみてください。
 この対談では「リアル」が「わかりやすさ」(実感?)に転化してしまっているのですが、氾濫する「論」には、他の面でもリアルさが欠けているのでは?というのがボクの感想です。ボクのいうリアルとは、「論」がもたらす現実への想像力ともいえます。
 ほんの一例として、人気者の知事が「徴兵制賛成」の発言をしたことを取り上げましょう。これに対して、兵にとられる若い世代から何の反発も出ない点に、リアルの欠落が象徴されています。誰が兵にとられ、その結果どうなっていくのか、そして自分はそれを望んでいるのか・・・と考えていけば、発言は彼らしいシャレと笑っていられないはずです。「論」を受ける側だけでなく、おそらく送る側もリアルさを欠き、それが「論」の軽さを生みだしています。
 上記の対談の終盤は、「プロ」の役割が論点です。リアルに結びつける想像力を発揮し、それをわかりやすく伝えていくことは、誰にでも簡単にできることではありません。小論文で苦闘している受験生ならば、わかりますよね。誰もがブログを使うことはできるかもしれませんが、それが直ちに、かつ自動的に「プロ」を生み出すわけではありません。問題は、論じることができる「プロ」が少なくなっていることです。「論」の氾濫は、それを象徴しています。
 予備校での小論文の授業は若い世代の「はじめの一歩」ですが、近いうちに、いろいろな世代の「プロ」を養成していく取り組みを始めようかな?などど、また余計な仕事を増やすことを考えています。

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