« 2007年8月 | トップページ | 2007年10月 »

2007.09.29

リサイクルで国際支援

 何だか忙しくて(おそらく5人分くらいの仕事をしてる…)、久しぶりの記事です。
 今週の火曜日は駿台・横浜の授業の前に、近くの公共施設で「NPOの社会的価値」について講演をしてきました。主催は「WE21ジャパン」というNPOで、神奈川県内54店のリサイクル店「WEショップ」を展開しています。
 他のリサイクル店と違い、「WEショップ」で販売している商品はすべて「寄付品」です。つまり仕入れはタダで、その売り上げから諸経費を差し引いた収益を、アジア地域の人々の生活向上と自立のために支援しています。2006年度は20カ国以上の地域・団体に約1800万円の支援を行ったそうです。なお、貨幣価値が大きく異なるため、支援を受ける側にとってはけっこう大きな金額であることに留意してください。
 寄付された不用品がカネになり、そのカネが国境を越えて、アジアのいろいろな地域の医療・保健、教育・人材育成に活かされる・・・このダイナミックな価値転換こそが、このNPOの最大の特色です。PCのディスプレイを見つめ、ネットオークションの価格の推移に一喜一憂するボクたちの日常を考えると、なんて社会的で人間的なのでしょう
 世界水準では超がいくつもつくほど「豊かな社会」で生きるボクたちは、その「豊かさ」を自分のためだけでなく、他者や社会・世界のためにどう活かすことができるのか?「WEショップ」は、この問いに対する一つの答えです。この記事を読んでいる神奈川県内の人は、不用品があったら近くの「WEショップ」に持ち込んでくださいね。ボクは某出版社からいただくお中元・お歳暮(高級?紳士用靴下)をそのまま寄付したことがあります。ボクには3足1000円の靴下で十分なのです。
 この文章を使って、以下のような問題を作りました。

 問 下線部の「社会的で人間的」という意味・理由を300字以内で説明しなさい。

2007.09.05

相互依存の強み

 一昨日の夜、情報公開のNPOの理事会がありました。例によって近くの居酒屋に寄り、与野党逆転の参議院で情報公開法をつくらせようとか、高齢者の遺産の一部をNPOに循環させる「社会に美田をキャンペーン」ができないかなど、いろいろな話をしました。そんな中で受験生の役に立ちそうな話が、タイトルの「相互依存」です。
 その話を切り出したのは、元新聞記者で細川元首相のブレーンをつとめた理事でした。ボクの文章の師匠ともいえる人です。ちなみに前防衛大臣Kさんも彼の添削を受けていたそうです。彼の問題提起を簡潔に説明すると、以下のとおりです。
 「日本の平和主義者のなかに、食糧安全保障論を持ち出して農産物の自由化に反対する人たちがいるが、それはおかしい…」
 現在、日本の食糧自給率は約40%です。オーストラリアの237%は論外としても、アメリカ128%、フランス122%に遠く及ばず、主要先進諸国の中では最低水準です。このため、国をあげて食糧自給率向上に取り組んでいます。詳細は農水省の「食料自給率の部屋」をのぞいてみてください(なお、近年、政府は食糧ではなく食料と表現しています)。
 こうした中で、「自給率が低いままで、有事(戦争)のとき、どーするんだ」と自給率向上を促すのが食糧安全保障論です。誰もがうなずく論調ですが、そこに彼は異論があるのです。彼の問題提起の背景には、少なくとも安全保障の観点からは、食糧に限らず「徹底した相互依存」こそのぞましいのです。自由貿易を拡大し、相互の依存を強めれば、戦争は自らの首を絞めることになるため、未然に回避しようとする力が双方に働くからです。
 いま中国の農産物や製品に対する不信感が広がっています。一方で、中国の軍事力強化が報じられています。こうした流れの中で食糧安全保障論が対中関係でも持ち出され、いざというとき(有事)に備えなければという「気分」が広がるかもしれません。そんなときだからこそ、自由貿易のさらなる拡大という「相互依存」の強みを日本は発揮すべきなのです。
 それは、輸入農産物の安全性に目をつぶり、国内農業の崩壊を放置することを意味するものではありません。安全性に厳しい注文をつけることは「相互依存」の根底にある信頼を強化します。国内農業の良さを再確認し「比較優位」をつくり出すことは「相互依存」を活性化させます。そのような努力をして「相互依存」を徹底的に追求することが、日本の平和と安定をもたらし、憲法の平和主義にもかなう・・・ということなのです。
 というように「実り」の多い、ボクらおじさんたちの居酒屋談義なのでした。

2007.09.04

不全感と向き合う

 予備校の授業もいよいよ後期に入ります。夏期は時間がなく小論文に取り組めなかった人、これから本格的に小論文に取り組む人、スタートライン・目標やいまの状況・気持ちは、人それぞれだと思いますが、前向きに楽しみつつがんばっていきましょう!
 そんなときに不全感だなんて、似つかわしくない表現ですね。でも、小論文の基本はタイトルにある不全感と向き合うタフさを身につけることです。辞書的にいえば、不全感とは完全ではないことです。小論文に限らず、文章や表現に完全なものなどないとボクは考えます。不完全だからこそ、その不足をつく他者の言葉を引き出し、相互の理解や思考を深めていきます。
 無謬(むびゅう)性を誇ることは自己の正当化にはなっても、他者との対話や議論を排除し独善をもたらします。それが人間や社会を誤った方向に導いた例をあげればキリがありません。誤りを含めて不完全な自分をさらし、相手からの指摘を参考に自分の主張やあり方を見直していく・・・人生や社会はこのような不全感をめぐる対話や議論を糧として充実していくのです。
 不全を認め、それを克服する営みは小論文の基本です。どんな問題でも明確な答えを出せないかもしれません。また、とりあえず答えを出しても、何だか疑わしいこともあるでしょう。某人気番組ではありませんが、「スッキリ~」といきたいところですが、そうはいかないところに人生や社会そして小論文のおもしろさがあるのです。
 あーでもない、こーでもないと思い悩み、なかなか答えが出ない不全感と向き合い、それを楽しみましょう!その経験が受験だけでなく、これからの人生にもプラスになると思います。
 

« 2007年8月 | トップページ | 2007年10月 »

カテゴリー

2015年3月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31