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2007.08.14

体感不安の時代①

 体感不安とは、言葉のとおり、一人ひとりの人間が他者や社会に対して何となく感じる不安のことです。不安についての客観的な根拠(事実)は薄弱なのですが、多くの人はその存在を疑いません。現代の日本社会には、テロ、犯罪、災害、健康、食品安全などなど、この体感不安が満ちています。
 ボクも個人情報保護の講演をするときに、流失・盗難された個人情報が犯罪に悪用される例をあげ、あえて聴衆の体感不安をあおることがあります。もちろん不安にさせることが目的なのではなく、体感不安を利用して個人情報の管理態勢を振り返り、必要に応じて強化してもらうことが「狙い」です。
 同様に、テロ、犯罪、災害など人びとの不安をあおる報道や情報伝達には、つねに「狙い」が潜んでいることに気づかなければなりません。そうでないと「狙い」どおりに踊らされて、不安に過剰反応して、不必要で無意味な費用を支払わなければならなくなるからです。
 身近では、健康に関する器具や食品を買いあさり「散財」してしまう人が好例です。彼や彼女は費用に見合うだけの効果(健康)を獲得できたのでしょうか?こういう疑問を打ち消したいからこそ、CMは一部の成功(?)例を引き合いに出して、商品やサービスの有効性を強調するのです。○○○キャンプに入って(DVDをみて)エクササイズすれば、ホントに1週間でダイエットできるのですかね・・・
 視野をもう少し広げると、少年犯罪への体感不安は厳罰化を基本とする少年法改正という「狙い」を実現させました。中国の食品・製品の問題では、末永く付き合うべき隣人への誤解や偏見を増加させるという「狙い」が奏功しつつあります。この秋にはテロ特措法延長が与野党対立の焦点になることから、延長を狙う側がどのように体感不安をあおるか要チェックです。
 体感不安は現代の日本社会を考えるうえで、とても良い素材といえます。体感不安をあおり、人びとの意識や行動を誘導しようとする例はたくさんあります。まずは、身のまわりや社会の中で思い当たるものを見つけて、そこに潜む「狙い」を考えてみてください。問題発見の先は、次回につづく・・・です。

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