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2007.07.18

お客様な時代

 夏期講習の第3日は少し軽めの実戦テスト。オリジナルの新作問題なので詳細は「企業秘密」なのですが、解答例の一つには消費社会の病理を取り上げました。個人の欲望を刺激し続け、それを際限なく拡大させていくのが消費社会の病理の一つです。しかし、病理はそれだけではありません。
 若い受験生は絶対に知らないと思いますが、かつて「お客様は神様です」をきめ台詞にしていた国民的演歌歌手がいました。彼のいうお客様の神格化をとことん進めていくのも、消費社会の病理といえます。いまやCS(顧客満足)は企業ばかりか学校や公共施設でも信奉される「神話」になりました。しかし、お客様の神格化は社会のアチコチで臨界点に達して非常に危険な状態になっています。
 月刊誌『ガバナンス』のボクの連載に、公共施設の利用者がお客様化することの問題を取り上げたことがあります。そもそも公共施設は住民の共有財産(コモンズ)であり、その良し悪しを決めるのが住民参加の成否です。しかし、お客様化した住民は公共施設のサービスに苦情や要望を言うだけで、自らの責任(参加)を果たさないフリーライダーになってしまいます。指定管理者制度という公共施設の民営化は、その傾向を一気に進めるおそれもあります。
 今日の授業で、ある公共施設の館長の話を紹介しました。その施設は企業が指定管理者となって運営しています。しかし、並の企業と違うのは、CSを重視しつつも住民に施設の管理運営に関する問題を提示し、その参加や責任意識を引き出そうとしていることです。同様にしてサービス利用者に当事者意識を持たせるべき分野が学校や病院です。
 お客様な時代は、個人が社会システムへの「お任せ」を強めていく時代です。その結果、個人が自分で難問と向き合い、解決していく力がいよいよ低下していくのです。予備校講師としてCS・授業評価はちょっと「こ・わ・い」ですが、お客様に苦労させないイージーなサービスはかえって生徒の皆さんをダメにする…というのがボクの信念です。きっと、わからないことも多いと思いますが、だからこそ物事を考える力がつくと考えてください。
 予備校以外にも複数の仕事をかかえていて、何だか「超」がたくさんつくくらい多忙なのですが、機会があれば「お客様な時代」というタイトルの新書でも書きたいと思います。
 

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