« いじめっ子への対応 | トップページ | 復元合格答案 »

2007.01.28

第三者評価について

 駿台・直前講習で取り上げたように、ガバナンス(自己統治)を強化していくためには公開と参加が必要で、後者の一形態として第三者評価(外部評価)があります。それについて私が書いた文章を以下に掲載します。ちょっと難しいかもしれないけど・・・。
 また、このほど指定管理者制度(公共施設の民営化)の第三者評価を横浜市が導入しましたが、私はその制度研究委員会の委員をやっています。NPO、企業、監査法人等が評価機関になって公共施設の管理運営を評価する仕組みで、来月から評価作業が始まる予定です。詳しくはこちらをのぞいてみてください。

「第三者評価の可能性と危うさ」
 深刻な財政難が続く中で自治体でも効率主義が重視されている。非効率で不要な事務事業については、廃止を含めた抜本的改善が必要不可欠な時代である。しかし、自治体内部には客観的な視点からこれを評価するシステムが不十分で、本来その役割を負うべき議会や監査委員も多くは機能不全に陥っている。こうした中で自治体は第三者(外部)による評価に抜本的改善の活路を求めたといえる。

また、深刻な財政難は公共サービスの市場化を促している。公共施設の民営化といえる指定管理者制度の導入は、その典型例である。当然のことだが、民営化してもサービスの質や公共性を維持しなければならない。従来のように、それを自治体が監査・指導することは困難である。公共サービスを受託した各事業者がガバナンス(自己統治能力)を高めるしかない。これを補完するものとしても第三者評価の役割が注目されることになる。

第三者評価の「流行」は偶然ではなく、時代の必然である。しかし、状況追随的にそれを受容するのでなく、そこに未来に向けた可能性を見出すことができる。

 当研究所(NPO「参加型システム研究所」)の受託事業を通じて、いくつかの第三者評価の設計、実施にかかわった中で気づいたのは、そこに公開と参加の両面が含まれていることである。たとえば、神奈川県の事業評価では悪質商法等に関する広報のあり方を検証した。評価機関の当研究所には評価に関する情報が提供された。日常の執務用に作成・取得したものだけでなく、当研究所の質問・要望に対応する形で担当課が新たに作成・取得した情報もあった。これらを分析して事業改善の具体的に提案をすることが、事業評価の実質的な内容だった。

「塩漬け用地」や「大量閲覧」に関して情報公開条例によって行政情報を入手し、土地開発公社の用地取得や住民基本台帳の改善を提案してきた経験のある私にとって、同様のことを無償でなく有償の委託事業として行えることは新鮮な驚きだった。情報公開条例の利用は特定の市民やテーマに限定され、それが目指した「公開と参加」による自治の向上が実現できているわけではない。これと異なる形で「公開と参加」を広げることが第三者評価の可能性である。

 しかし、自治体や市民が不慣れなこともあって第三者評価が危うさをはらむことも事実である。たとえば、前述の事業評価も対象事業を市民が自由に選択できなければ、第三者評価は事業切捨てにお墨付きを与える役割を担うだけに堕してしまう。自治体の正当化手段に悪用されないためにも、評価する側の主導権確保が重要になる。また、第三者ゆえの危うさもある。それは現場から乖離した評価になることだ。たとえば、指定管理者施設の設置目的、地域性、独自性など、相手のことを十分に理解しないまま評価が行われた場合、評価結果はお蔵入りをするか、不要な仕事を施設側に推しつけることになる。これを避けるため、横浜市の協働研究では、現場をよく知るNPOや市民活動団体が評価機関になり、施設と市民が協働する評価を提言した。

 日本社会では権威や権力をもつ者が一方的な評価権をもち、善悪・美醜などの価値基準を評価される側に押しつけることが多い。評価される側もそれに面従腹背するため、評価の効果があがらない。第三者評価はタテの評価つまり権威・権力による「裁定」ではなく、事業内容に対する「気づき」の提供つまりヨコの評価でなければならない。評価結果は事業内容に対する異なる視点からの「提案」であり、それをきっかけとして評価される側(内部)の議論が始まり、深まることが必要だ。このようにして、第三者評価は自己評価の充実にも資するのである。

« いじめっ子への対応 | トップページ | 復元合格答案 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« いじめっ子への対応 | トップページ | 復元合格答案 »

カテゴリー

2015年3月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31